梔子いろは

ヤンデレ彼女とツンデレ彼氏。

 僕たちの関係はまぁ俗にいう彼氏彼女の関係である。
ただ一つ問題なのが、彼女は極度のヤンデレで、僕は極度のツンデレだということだ。


 中庭で昼食を取るのが最近の日課になっていた。もちろんそれは彼女の御所望だ。断れば僕が何をされるか分かったものじゃないからだ。
「見てみて、今日は君のためにウインナーをタコさんに切ってきたんだよ! 嬉しい? 嬉しいよね? だって私が作ったんだもんね? 嬉しくないわけないよね?」
「…別に特別美味しいわけでもないけど、いいんじゃないの?」
「だよね? 美味しいよね? 良かったぁ、私が怪我までして切り刻んできた甲斐があったねっ。」
 両手に厚めに巻かれた包帯を僕に見せつけながら、彼女は至極嬉しそうに言った。本当はもっと喜ばせられるようなことを言おうと思ったのだけど、如何せんこの性格が邪魔をして上手く褒めることが出来なかった。ほんとに、二人っきりの時はちゃんと言えるのに!
「ね、私のこと好き? 好きだよね? だってこんなに可愛い彼女がいるのに不満だなんてことないよね? あっ、でも何か希望があったら言ってね! 私頑張るからね? 頑張って直すから! だって私は君のことが大好きだからっ。」
「…うん、僕もそれほどじゃないけど君のこと好きだよ。」
 この昼間からこんな大胆な発言ができるのは彼女くらいなものだろう。ほら、周りの昼食を取っていた生徒も引いてるし。
 まぁでも僕は気にならないけどね。彼女に僕以外の男近付けたくないし!
「私たちって本当に最高のカップルだよね!」
「何恥ずかしい事言ってんだか。まぁでも良いよそれで。」
 今日も歯車の噛み合わない僕たちは、その歯車の噛み合わないままに、清く正しい交際を続けています。

                                         【end.】

 お久しぶりです、梔子です。ギャグ路線に走ろうと思って、見事に玉砕した感じですOrz。流行のツンデレを取り入れてみたかったんです。ヤンはおまけです。でもヤンの方がメインみたくなったのが心残り…。
実に教育上よろしくないモノになってしまってすいません。また気が向いたら書こうかn(止めろ。
 読んでくださった方は有難う御座いました!

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