第参者(魅闇美)

感情文

喧嘩をした・・・コレは事実
喧嘩っていうのは相手のことをよく知っているからこそ起きるもの
喧嘩するほど仲が良いなんて言葉もある・・・コレはキレイゴト
一緒にいるのも腹立たしいからいつも一緒に帰るのに、彼奴を無視して先に帰った・・・コレは幼稚な行動
玄関を出たところで立ち止まる、彼奴がいないから傘を忘れたことに気がつかなかった
・・・コレはやつあたり
傘を忘れたから学校に引き返してきたなんて彼奴に知られたら恥ずかしいし馬鹿にされそうだ
・・・コレは予想
だからそのまま雨の中帰ることにした・・・コレは自暴自棄
遠慮なく降り注ぐ雨がブレーザーに浸透して体温を奪う
予想以上に雨は冷たくて、自分の軽率な行動に後悔した・・・そう、コレは後悔
けれどそれと同時に気づいたのはもっと大きな後悔
喧嘩なんてしなければ良かった
なぜ喧嘩なんてしたのか、喧嘩の理由なんて思い出せない
どうせくだらないことだったのだろうと思うけど・・・
そんなことでなぜ怒ったりしたのだろうか?
怒りに任せて酷いことを口走った気もする
そんな自分が嫌になってくる・・・コレは自己嫌悪
雨降りの中立ちすくむ・・・オレは馬鹿
そんな俺の前に女神降臨!!・・・コレは大げさな比喩
なんでこんなことを突然思ったか
雨に当たりすぎて風を引いたのかもしれない、それで頭がいっちゃったんだ
・・・コレは本当ならば笑い事じゃないけれど
喧嘩をした相手(彼奴)が目の前にいる
・・・コレは夢?幻覚??
傘を差し出されてつい「いい」と突き放す・・・コレは意地っ張り
それが解っていてか何も言わずに自分を傘にいれる
冷たい雨と冷気のせいか隣にある存在が温かく感じた
突然静寂の中か細い声が聞こえてきた
     「ごめん」と
俺だって今言おうとしたんだと嘘が口から飛び出した
・・・コレは言い訳、本当は言い出せずにいた
「ホントかよ」と隣で苦笑を漏らす彼奴を見て嬉しくなった
・・・コレは正直な本心、本音というやつ
そんな気持ちに感づかれるのが気恥ずかしくて顔を反対側に向けた
・・・コレは照れ隠し
今の気持ちを上手く表現できなくなった
安心していて、それでなんか心の奥がぽかぽかするような、
喜びに似ているけれど恥ずかしいような感情も混ざっていて・・・
とりあえずそんな気持ちを伝えるべく口を開いた
    「ありがとう」
口から出たのはそんな言葉
全ての気持ちを押し込んで使える優しい言葉

隣には彼奴がいる
この日常が当たり前じゃないとやっていけない・・・コレが結論
結論的というか総体してどんな感情だよって?
言葉じゃ説明できないからfeelingで掴め

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