沢村拓

マスクマン


  君と僕との間に一枚の仮面があったとして
  思い描くそれにきっと形はない
  二人は過ぎ去っていく過去につきまとわれて
  身動きもとれずに佇んでいる
  初めての風景すらフィルター越しに
  霞んで見える
  一体そうまでして見るものにどんな意味があるんだろう

  自分の影に強迫観念ばっか抱いて
  臆病さをいつまでも隠したがっている
  誰もが仮面をかぶっている
  何も変わらなくたって、何かが変わっていったとしても
  怖がらなくていいから

  消えかけた記憶をパズルみたいにつないで
  完成した答えは残念賞でした
  舞踏会で出会った人に街中で声かけても
  無視されて終わった昨日

  きっと君と僕との間には大きな壁があって
  誰にも知られたくはないけれど、君を何も知らない
  そっと手渡されたメモ帳には昔の仮面がたくさん
  書いてあった
  僕も君も知らないような深い場所で今も
  静かに生き続けている

  

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