南阜

プレゼント・フォー・ユゥ★

「あー……疲れたなぁ、」
 僕は屋上の柵に寄り掛かってぼそっと呟いた。
「すーぐに、疲れた、って言う!
誰だって疲れてんだ! そんなこと言うな」
彼は僕の頭をポカっと叩く。僕は怒られた。
「ごめん、」
僕はつい謝ってしまった。
「今日は何の日だと思ってんの?」
「……何の日?」
 僕はきょとんとして彼の顔を見た。
「……ほら!」
彼は僕に何かが入った紙袋を渡された。
「何これ……?」
「中、見ろよ」
彼は僕に勧めるように言った。
「水筒……?」
「お、おまえ、よく飲みモノ飲むだろ、
ペットボトルだったら、勿体ないから……
―――――――……だから……――――――――」
 彼は照れたように頭を掻いた。
「ありがとう、」
僕は彼ににっこり笑った。
彼は顔を真っ赤にして照れた。
「じゃあ、帰ろうかー!」
「…あ、うん」
 ―――――――彼は僕の為に、プレゼントをくれたのは、初めてだったなぁ。
僕は彼の裾を引っ張った。
「何、」
彼は僕の方を向いた。
「ありがとうねーっっ」
僕はもう一度にっこり笑った。
「うるさい! いらないなら返せ! 馬鹿!」
「い・や・だ!」
 僕と彼は屋上に繋がる階段を下って行った。

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