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南阜

秋楽

「あ、あのね、これ、たまたま見つけて…似合うと思って…うーん違うなあ」


ぼくはぐしゃぐしゃと頭を掻く。恥ずかしいな。初めて…女の子にプレゼントするものが、こんなもので…いいのかな。夏の終わり、もう北海道は涼しくなってきて、少し肌寒いくらい。そんなことはお構いなく、ぼくには春が来た。夕希ちゃんっていう名前で、ぼくより少し身長が大きくてスタイルのいい美人さんだ。今日は彼女の誕生日。ぼくにとって初めてのプレゼントでとても緊張している。ぼくは、プレゼントをどう渡そうか、必死に考えていた。待ち合わせ場所のテレビ塔が見えてきた。あぁ、どうしよう。心臓が破裂しそう。どきどき、ばくばく。あぁ、ぼくはこのまま、どうなってしまうのかなあ。
「彰くん」ぼくの名前を呼ぶ、華奢な声。夕希ちゃんだ。「あっ、ゆ、夕希ちゃん!」ぼくは緊張のし過ぎで、声が裏返る。「…良かった。彰くんだった! 人違いだったらどうしようかと思ったよー」彼女はにこりと微笑む。ああ、可愛いなあ。
「テレビ塔待ち合わせだったのに、意味なかったね」僕が笑って言うと、「そうだね」と彼女も笑う。この少しの会話でもぼくは幸せ者だなあと思う。それにしても、かわいいなあ。ぼくの渡すプレゼント喜んでくれるかなあ…少し不安だなあ…。
「彰くん」「へあっ?」思考を巡らせている最中に突然名前を呼ばれて、油断していたぼくは変な声を上げた。「な、なに? 夕希ちゃん」
「わたし、観覧車乗りたい!」
「…いいよ!」彼女の好きなところに行かせてあげたい。僕はその思いだった。だけど…
「ううう…」
「大丈夫? 彰くん」
「あ、うん…大丈夫…」
ぼくはぼく自身が高所恐怖症だということを忘れていた。ぼくは観覧車に乗って、少しは我慢できたものの、すぐにノックダウンしてしまった。夕希ちゃんに心配をかけている、という状況になってしまった。
「無理しなくても良かったのに…」
「い、いや。夕希ちゃんのためだもん」
「彰くん…」
すると夕希ちゃんはぼくのポケットの中に入っている、プレゼントの存在に気が付いた。
「彰くん、これ…?」
「あっ…えっとね…夕希ちゃん、た、誕生日だから…その…プレゼント…なんだけど…」
ぼくはポケットの中で少しくしゃくしゃに包んであるプレゼントを渡した。
「…ありがとう…! 開けてもいい?」
「あっ、うん! いいよ!」
彼女は嬉しそうに包み紙を開けていく。ああ、ぼくの渡したプレゼントをいま…緊張するなあ。
「…きれい…」
彼女はプレゼントを見つめる。ぼくが彼女に買ったのは、鮮やかな赤と、透き通るようなオレンジ色のブレスレットだ。「ぼ、ぼくのセンスで悪いんだけど…」
「凄く嬉しいよ! ありがとう!」彼女はとても嬉しそうに笑ってくれた。それだけで、ぼくの顔も綻ぶ。
「ほんとありがとう、彰くん! 大事にするね!」

「うん、ぼくも喜んでくれて嬉しいよ」

あとがき
突然始まって突然終わる、それが南阜です。どうも。今回は文芸部初の試み、お題くじ引き的な感じのをやらせていただきました。とても面白かったです。今後もやりたいとか思ってみたり。思わなかったり(笑)
こういう可愛いカップルの話を書いてると痒くなりました。自分はリア充にはなれないので☆(こういうことを言う自分痛い)でも可愛いカップルは書いてて楽しいです。わりと。ありがとうございました!

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