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花海

ブルーアンブレラ

ざあざあ、ぽつぽつ。
屋根にあたる雨の粒がぱらぱらと地面に吸い込まれていく。
ぽつりぽつり、ぱたたたたっ。
放課後の、人もまばらな時間帯。つい数分前に数学の追試を受けていた俺は、生徒玄関の前で見知った人影を見つけた。
一人ぽつんと雨の降りしきる外を眺めている女子生徒。彼女は自分の幼なじみの雪乃だ。幼なじみとは言っても、高校に入学してからはすっかり疎遠になってしまったけれど。
そんな訳だから、雪乃に声をかけるのは少し躊躇われた。
素通りしてしまおうか、いやそれは酷いか? なんてグルグル考えていると、雪乃が俺に気付いてしまった。
どうしたの? と彼女が尋ねる。
「いや、帰ろうとしたら雪乃がいたから…。」
なぜか少し口ごもってしまった。俺の馬鹿野郎。
「なぁんだ。けー君も傘忘れたのかと思ったのに。」
ほら、天気予報では晴れだったでしょ。
雪乃が笑いながら言う。意外と普通に話せてて、俺は少しホッとした。
「…折りたたみならあるから、貸してやるよ。俺はどうせチャリだし。」
ぱぁ、と雪乃の顔が輝く。
「え、いいの? ありがとう! ………変わってないね、けー君」
「え?」
「高校入学してから話さなくなったでしょ。なんだかけー君が遠く感じちゃって…。」
けー君はけー君なのにね、と照れたように雪乃は笑う。
「そんなすぐに変わるわけないだろ。これからもさ、仲良くしてこうぜ。」
「うん。じゃあこの傘、明日返すね。お礼にお菓子作ってくるから!」
そう言って雪乃は帰っていった。
雨の中を歩く、青い折りたたみ傘と雪乃の後ろ姿が妙に記憶に残っている。
あいつ、あんなにかわいかったっけ?
ぽたりぽたり。
雨は未だに降っていて、明日は晴れるといいなと、そう思った。

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