ロマンキコウ

くれいじぃW・L

その参 「あっはっはっは(泣)」

 私の名はヴィル。某国お抱えの特務機関の一員だ。今、「宇宙からのメッセージ」を解読しているところだ。
 「宇宙からのメッセージ」は、我々と敵対している国が、月面にて発見した石である。一見すると、ただの石っころであるのだが、ある音波を当てるとそれに呼応するかのように、微弱な音波を発生させる。敵国はそれを秘密裏に持ち帰り、研究に研究を重ねた。そして奴らは、その石の音波は、地球外生命体の声であるという事を発見した。しかも奴らは、それを翻訳する方法までも発見してしまったのだ。我々の国は、送り込んでいたスパイを介してそのことを知り、すぐさま、例の石と、その解読方法の奪取作戦の立案・実行を行った。「その石にもしも、強大な兵器の製作過程が記憶されていて、敵国がそれを造ってしまったら、世界情勢が大いに混乱してしまう恐れがある。」と、我々の国のお偉いさん方が判断したからだ。
 そして作戦は実行に移された。特務機関の人間の何人かが、潜入・奪取作戦に駆り出された。私は、司令室で別の仕事をするよう命じられた。私は、ただ同僚たちの無事を祈るしかできなかった。
 一週間後、駆り出さされた機関の人間が帰ってきた・・・、が、帰ってきた者は、たった一人だけだった。たった一人だけが生き残り、命からがら、例の石と、その解読方法を記したデータチップを持ち帰ったのだという。他の者たちは敵の罠にはまり、一人、また一人と逝ってしまったのだと、私は聞いた。私は泣いた。駆り出された人間の中には私の親友、飲み友達、軍事訓練生時代にお世話になった先輩がいたからだ。そして今、私は仲間たちの意思を受け継ぐように、英雄たちの功績を無駄にしないために、例の石の解読に打ち込んでいる。
 睡眠らしい睡眠をとらずに、何十日も、石の解読を続けた。そして今、その作業は終わろうとしている。疲労がたまっている、疲れた、辛い、眠い、休もうかな・・・・・・。いや、だめだ。ここで作業を中断することは、命を賭けて国のために尽くした仲間たちに対する裏切りに等しい。一刻も早く、解読を終えなければならない。私はそう信じ、手を止めずに、仕事をした。
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「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
解読に成功した瞬間、私は言葉を失った。その石には・・・・、次のようなことが記憶されていた・・・・・・・・・・・。
『じゅうよんがつ、ついたち、ミリョンようび、はれ
 きょう、ぼくはやまへハイキングにいきました。そこでかぞくでいっしょに、バーベキューをしました。とてもおいしかったです。また、いきたいです。
 じゅうよんがつ、ふつか、メレレようび、あめ
 きょうはそとがあめだったので、おそとであそぶことわ、できませんでした。あしたは、もっといろいろあそぼうとおもいました。」
ここで、音波は途切れていた・・・・・。

後書き
 今日は!ロマンキコウです!今回の作品は、僕の部誌掲載作の中では最長である、7ページの短編集にしてみました(短っ!)。皆さん楽しんでいただけたでしょうか?
 僕の中でのお気に入りの作品は、「その弐」です。みなさんは、もう途中で気づいているかもしれませんが、(というか、気づいてるよな、絶対。)これはドラえ〇んのパロディです。なんかこういうのって、楽しく書けるんですよね。あ・・・、いや、その壱・その参も楽しんで書きましたよ!うん!
 実は、この作品は今回の部誌に載せるつもりのものではありませんでした。きちんとした小説を載せたかったんですが、書き始めが遅かったために、締め切りに間に合いそうになかったんですよ。そこで、この短編集を急遽作ることにしたのです。もちろん手は抜いてません。自分的に!
 その小説作品は、次号に、必ず載せようと思っていますので、できれば、期待して待っていてください。それでは、これからもよろしくお願いします。
 それではみなさん、さよ〜〜なら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

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