かねて

僕は、気付かなかっただろう

三人でどれくらいか歩いていくと、突然、涼と京は足を止めた。
「見てみ。」
その声が耳に届くと、俯き加減に歩いていた桜は顔を上げた。
目の前にあるのは、陽光に包まれる一本桜。
ここ最近の温暖な空気でその桜は花を開かせていた。
「綺麗・・・。」
春の風でその桜の花びらはあたりに舞っていた。
「この桜は転校してきた時に、たまたま見つけたんやけど、 最初は見るたびにお前に似てるなー思て。・・・けど、今は少し違う。」
誰かと一緒にいることはせず、ただ一人孤独に耐えてきたあの頃。 周囲にあるものは、全て敵だ、と常に緊張感が体を強張らせて。
この桜も恐らくは、そうだろう。風が吹けば、綺麗に咲き乱れている花がすぐに散ってしまう。 舞う一瞬は美しさを楽しませてくれるが、その一瞬も誰の目にも映らなければ、そこにある意味を成さなかった。
こんな誰にも見つからなさそうな場所にあるこの桜木は、 きっと誰かの目を楽しませることを、出来てはいなかったろう。
「うん・・・この桜も、俺も。今は、孤独じゃないよ。」
今は、この桜を見てくれている涼と今日の二人がいる。
そして、自分にも二人の親友がいる。孤独を感じることなんて、今はもうなかった。
「・・せやけど、この桜木は綺麗に咲いてるけど・・、こっちの桜は五部咲き程度やなぁー・・・。」
涼は、桜木と桜を見比べるように何度も視線を移した。
「・・・ったく、お前は、一言多いから、口うるさいって言われているのが、わからないのか。」
「っっなんだよ京!!そっちかよ!否定はしてくれないわけ!?」
桜咲き乱れ、舞い散るこの中で、三人は一週間後の入学式に胸を高鳴らせた。
この時の桜の胸にあった違和感は、モヤモヤしたもどかしさではなく、 これからの未来を思う期待からの胸の高鳴りであった・・・と自分で気付いたのは、
入学式当日のことだった。


Fin

あとがき
新入生の皆さんは、初めまして。かねてです。
新しい学校生活はどうですか?恐らく、不安で一杯でしょうに、更に不安にさせるような内容で申し訳ない。 ご覧のとおり、全然文章力の無い私でも、(多分)やっていけているので、 自分文章力に自信ないけど興味はあるなって方は、入ってみてください。 入って後悔はしないんで!・・・保証はしませんけど。 私みたいな、あとがきを書きたいがために作品を書いているいような人間でも (嘘と言い切れないところが痛い)一年やれていますからね・・・。 いや、何度か原稿出してないんですけどね。あぁ・・・文章力が欲しい・・・。 えぇ、兎に角、新入部員を待っています。
小説について、まず始めに、毎度のことながら、駄文で申し訳がなさすぎる・・・ それは基本、これから先も変わることがないので、これからも謝罪に力を入れていきます。 今回は、エセ関西人を出してみました。関西弁大好きなんですよ。 自分で言うのは好きじゃないですけど。きっと、間違っているところがあるでしょうけど、見逃してください。
タイトルの「僕は気付かなかっただろう」に関しては、 「咲き乱れる桜に気付くことはできなかっただろう」っていうのと、 「胸のモヤモヤが実はドキドキだったのに気付くことはできなかっただろう」っていう意味と、 二つの解釈があるってことにしておいてください。・・・今、思いつきました。 実際、先ほども書いたのですが、不安にさせるような内容ですみません・・ 新入生の皆さん。こんな内容書いているからって、ここの学校で苛めが酷かったり、 私が現に苛められてたりとかは無いので、安心してください。
色々と矛盾点がありますが、大目に見てください。
それでは、また次回。

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