ロマンキコウ

短編詩集「誰も傷つけないマスタード・ボム」

「すにぃかーず」

ここに一足 茶けた靴
履き古されている

ふと頭蓋骨をマグロが過ぎる
この靴は履かれなければ
清純なままでいられたのだろうか?

ラバーソールは削れる物なんだって
買い取った時から分かっていた
だけど使った
これは運命なんだって
分かっていたから

人口素材が傷付いたときに
涙を流すモノだったなら
僕は履くのをためらっていたのかな
だったらどうしよう
それなら役目が亡くなってしまう
このスニーカーの意味が 意義が
雪のように

できれば僕はスニーカーに尋ねたい
「君はどこまで生きたい?」
「どうやって行きたい?」
「泳げるならば泳ぎたい?」
「潜れるなら潜りたい?」
「飛べるならばどこへ飛びたい?」

でも僕はスニーカーに尋ねられない
そういう風に 世界はできている

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