店に入ると、客がたくさん居た。
「うわー席空いてるかなー」
龍一が少し嫌そうな顔をして言った。
「俺、席探してくるよ」
大輔は龍一の肩に手をポンと乗せ、言った。
「おぉ、サンキュー」
「くくくくく、ひひひひひひひひひひ!」
レジが空くのを待っていた龍一の横で奇妙な笑い方をしている少年が居た。
「………(何が可笑しいんだ?)」
龍一はじっと少年の方を見た。
少年は龍一の視線に気がついたのか、ギョロっと目を龍一の方へ向けた。
「ひひひひひひひひ!」少年は先程より口角を上げて笑っていた。少年は不気味な雰囲気をまとっていた。
「な、なんだよ」
気味が悪くて思わず返事をしてしまった。
「ひひひひひひ、おまえ、死ぬ!」
少年は思い切り、龍一に指を指しなにかを宣告するかのように言った。
「な…っ!(何なんだ、この…子供…)」
龍一は突然のことに言葉が出なかった。少年は発狂しながら笑っていた。
「ひひひひ、男死ぬ!おまえ死ぬ!ひひひひひ!」
少年はニタァと嫌な笑顔を浮かべ、同じ言葉を叫びながら、歩いて行った。
「…なんだったんだ?」
龍一はゾクっと寒気を感じたがすぐに治まった。
「……(男が死んだら…俺が死ぬのか?これは決まっていることなのか?だとしたら、規則性が―――――)」
龍一が思考をめぐらせていると後ろから衝撃が与えられて驚いた。
「なにボーっとしてんだ!」
どうやら大輔に頭を軽く殴られたらしい。少し痛い。
「いって〜!」
龍一は大げさに言った。
「席あったぞ!さっさと注文〜!」
大輔はにこりと笑って言った。大輔は早くしてもらうように促した。
「ハイハイ、分かった、分かった(…さっきのことは考えないでおこう)」
「あああアアあアああああァ!」店の奥の店員が叫んだ。叫んだと思うと、突然、温度の高い油の近くに居た男の店員の顔を突っ込ませた。
男の店員の悲鳴が聞こえる。「ぎゃあァァアああ!」暴れるが、店員の頭を押さえる力の方が強く、なかなか頭を上げられない。しばらくして、男の店員の腕がグッタリと落ちた。
「わああああああああああ!」状況を理解したのか、龍一は震えながら、叫んだ。大輔は怯えて声すら出ていなかった。龍一の叫び声に気付いた客は、わらわらと龍一の視線の先のものを目にした。
「わあああアあァアアア!」「きゃあああァあアァ!」叫び声が、店の中の全体に響き渡る。客は店から出て行く。
「…ひ、人殺し…!」龍一は震えた指で店員を指差した。それに気付いた大輔は龍一の手を掴んで「なにやってんだ!に、逃げるぞ!」と言って、龍一の手を引いた。