正松

短編詩集「バクの休日」

「鈴鳴る夜」

閉め切った部屋を抜け出そう
ぽらぽら降る雪を浴びに行こう
焼けたターキーは薫らないけれど
今夜の夜は
誰か様の誕生記念日らしい

でも 何でも良いや
こんな鈴の鳴る夜に
君に会えるんだから

湿気た顔の街路樹も
今夜ばかりは無口に光る
赤 緑 黄 色々

向こうは馬鹿騒ぎで
こっちは厳かに
コントラストを捻ったみたいに
無数のドラマに街は呑まれる

僕等もそのひとつを創るんだ
それが普通
ほのかに嬉しい

ほらほら そろそろ始まりだ
砂糖菓子のサンタの家をプレゼントして
始めてしまおう

幸福も 不幸も
ひっくるめて
さあ
メリー・クリスマス

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