『空気』
時折、街など歩いていると
人ごみの中に埋もれていたりなどすると
すう、と心が
すう、と身体が
すう、と空気に溶けていくような気がするのだ
それは周りから消えていくということ
空気に話しかける者はいない
空気に耳を傾ける者はいない
空気を見ようとする者はいないのだから
それがとってもこわいのだ
いつか、存在そのものが消えてしまいそうで
それがとってもこわいのだ
必死にまったりした空気から出ようとしても
ずぶずぶと手が沈みゆくだけで
空気は出そうとしないのだ
そうして私は少しずつ 確実に
空気の中にうずもれていくのだ