如月裕

詩集「夕景メテアロンド」

『反響しない「無題」』

輝かしいような 照れくさいような
それでも確かに存在した
手を伸ばした先にあったはずの
未来はどこに霧散した?

もがけば消えてしまうような
淡い光、ではなかった
ただ煌々燦々と そこに君臨していた
羨むような生まれたての若さをもって

それなのに
今ではどこにも見当たらない
真っ白いどこまでも反響しない砂漠を
永久にさまよい続ける他なく

未来は 霧散したのではない
ただ、「今」になってしまっただけなのだと
その単純な事実に
気付く術は まだ 持たない

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