円形に広がっていた光は全ての景色を飲み込んで白だけの眩い空間となった。まるで、立ち眩みをしたような感覚に陥り、ようやく元の感覚が戻ると、目の前に広がるのは元の世界だった。
言霊の幸ふ国ではなく、本当の現実世界だ。
強く握っていた拳をゆっくりと開くと、その中におさめられていたのは一枚の絆創膏だった。
すると、頬に鋭い痛みが走りそこに触れると、指に深紅の血がついた。
「君を傷つけてしまったみたいだね…」
床に力なく倒れると、廊下の方でけたたましいサイレンの音が聞こえた。
「データが消失しただと…」
ドアに張り付いて廊下の様子を伺うと、そんな声が囁かれた。
彼が道を示しているかのような気がした。
『君は僕のたった一人の友人なんだ』
―君は、こんな私を友と呼んでくれるのか?
―あとがき
久しぶりすぎて、あとがきに何を書けばいいのかわかりません。
こんにちは。かねてです。
高文連に提出した作品に少し加筆して載せました。すみません、手抜きです。
最後の最後までなんだか暗いですが、ハッピーエンドです。きっと。もっと濃い話になるはずだったんですが、遅筆なので気付けば締め切り前日でした。ははは、いつもこれだよ。
今回の作品で、文芸部での私の活動は終わりになります。今までお付き合いいただきありがとうございました。
不甲斐ない部長ではありましたが、こんな私についてきてくれてありがとうございました。