『壁』
囚われた籠の中 作り上げた壁は堅く
自らでさえも壊すことはできないと思い込んでいた
遠く かすかに見える空は四角く
世界はそれだけだと思い込んでいた
手を伸ばせば いつでもここから出ることはできたのに
鳥たちがやってきては囁く
「外はとても気持ちがいいよ」
対して私はいつも返す
「私はここから出られないもの…」
…それは蜘蛛の糸のように張りめぐらされた嘘
ついている本人も気付かないまま
コツン、て小さく壁に触れてみる
まだ壁は堅いまま
外に出ることを許さない
背中に翼が生えていることも知っていたわ
でも「飛び続けるつらさを感じるのはもう嫌」
そう自分に嘘をついて
飛ばない
本当は 風に乗りたくてたまらないのに
コツン、て小さく壁に触れてみる
ピシリ、小さくひびが入った
それは 許した合図 私が私自身を
背中に生えている翼の動かし方は覚えているわ
出よう 青い青い空の下に