『草原の少年』
少年は歩いている
まっさらなままで
命の波打つ草原を
ひたりと足で踏みしめながら
少年は歩く 歩き続ける
遠くで、ぞうが横を通りすぎた
太陽がやわらかく微笑んだ
さらさら流れる風は優しく
けれどどこか寂しくて
汚れを知らない少年は
抱いていた後悔さえ忘れ
夢みるように 歌うように歩く
歩き続ける
はっきりとした終わりはない
終わることはあっても
かばがのっそり頭を上げた
花の匂いがあたりをつつんだ
木の上でとらがあくびした
木の葉はさわさわ笑ってた
少年は旅をしている
まだ、まっさらなままで
いつかめざめる日を夢みて