『獣の声』 獣の声が聞こえたんだ、 獣の声が聞こえたんだ。 荒々しく咆えるような それでいて切なく泣くような 獣の声が聞こえたんだ 暗く深い洞窟の中 獣は叫ぶ ひたすらに 大切なものを失った 怒りと悲しみを抱えて… 獣は叫ぶ 獣は叫ぶ 荒れ狂い雷雨の注ぐ下 「誰か目の前の現実を 嘘だと言って否定してくれ」と 獣の声が聞こえたんだ、 獣の声が聞こえたんだ。 荒々しく咆えるような それでいて切なく泣くような 獣の声が、獣の声が――、 僕の体内(なか)から、聞こえるんだ。