真崎珠亜

一時の、

「あっ、ちょっと待って下さい」
 そう言って私の手を引き止め、しゃがみ込み一輪だけ花を摘んだ。
「ここに来た記念です」
そう言って微笑み、手に持つ花を何故か私の耳に挟んできた。
「……おかしくないか」
「可愛いですよ?」
満面の笑みでそう言われては無下に返す訳にもいかない。仕方無く、私はそのまま放置することにした。
「……また、一緒に来ましょうね」
耳に挟んだ花はそのままに、触れていた指が滑り頬に触れる。
幸せそうに眇められた双眸に、愛おしい微笑。
あの頃から何も変わらない、純粋なまでに世界を信じている心。
「…………あぁ」
触れてる手に手を重ねて、ただそれだけ答える。
微かに胸が痛むのは、叶えられる確証の無い約束だからか。
 帰ればまた直ぐ戦場が待っている。一瞬の隙が命取りになるような場所で、私は生きて行かねばならない。
それなのにこんな風に出来ないかもしれない約束をしていいものなのか……。
「またしばらくこっちには帰ってこないが……あまり無理はするなよ」
「それはこっちの台詞ですよ」
触れた手を離し、頭を撫でて言ってやると拗ねてしまったのかぷいとそっぽを向かれてしまった。
「帰るか」
「……はい」
 手を握り締め、また歩き出す。歩幅が違う為に少し遅く歩かねばならないがそんなことは別に構わない。
暗い森の中で、あの赫を忘れないでいようと胸に誓う。
いつかまた、この場所に来る為に。
「次に来るときは、戦いが無くなっていれば良いですね」
「そうだな」
どんなにそれが難しい願いかということは分かっているが、否定はしたくなかった。
戦はそれぞれに譲れない理由があるから、終結が難しい。
国の為に、誇りの為に、自身の為に、誰かの為に。
それぞれの意志が強ければ強いほど、互いの振り翳す正義が衝突し惨劇を生む。しかし、誰も間違っていないからこそ悩むのだ。
 私は、自分の戦う『理由』の存在を確認するようにもう一度強く握り締めた。優しい温もりが掌から伝わってくる。
向こうからすれば無理矢理な押し付けだとは分かっている。
けれど、私はこの手をずっと離さないでいたいと願う。

―――――――――いつか離れる、その時までは。



■後書筋肉十割増量中■

 前号の『Danke』前々号の『Noel(2008年版)』前々々号の『金魚玉(学校祭号下巻)』、前々々々号の『おいでよ ぶんげいの森』前々々々々号の『SPRING BREEZE』又は前々々々々々号の『Noel(2007年版)』又は月刊部誌1月号か5月号か10月号の『玉露』を読んで下さった貴方様はお久しぶりです。今号が初めてという珍しい在校生と新入生の方々は初めまして最近筋肉フェチになり始めている真アです何この挨拶。
 えー、今回も凄くグダグダですいつもの如く。しかしまぁ何というかぶっちゃけこれ今まで以上に趣味全開なんですよね。自重しない。
だってこの話のモデル♏ฺの人だもの。Mの人じゃないよ、どっちかっていうとSの人だよ(どうでも良い。
分かっても「あーぁ…」くらいの残念な気持ちで居て下さい。そして真アを可哀想な目で見てやって下さい。
ていうかもう今日が〆切当日っていうね、春休み何してたの俺っていうね。妄想だけどね!(←
 この話は最終的に結局片方死にます(おま)。
いつも思うけど自分の作品ってとことんハッピーエンドにならない気がします。大抵死人が出るっていう。……病んでるのかな。
あとこの人達どちらも性別不詳です。敢えて言おう、私は男っぽい女性が好きであると!(待て
 タイトルの「、」の後には言葉が続くのですが色々ありすぎていっそのこと消してしまったっていうのが真実。何も考えてはいないのよ。
 そういえば前回も赤い血がどうたらこうたらという病気作品投下しましたよね。ネタ無いのですね、俺。
皆さんにとっての赤は一体何でしょう? 私は血です。いつも出血してるので。そういえば日本での太陽の色は赤ですが米国では確か黄色だった覚えがあります。林檎は緑。そうなると欧米人からしたら、どうして日の丸は赤なんだろうってことですよね。異文化は難しいです。
 どうでも良い話ですが、さっきまで作業BGMで聞いていたハイテンションで胸をもぐ歌が消えません助けて。でも私はメロンの方が好きなのですが……。(本当にどうでも良い
 こんな奴ですが新入部員は大歓迎です。大丈夫! 変態は私だけですから! 安心して侵入して来て下さいね☆
 では、ここまで読んで下さり有難う御座いました!
 次回もまたお逢い出来ることを祈りつつ……。

      2009年4月9日 真ア 珠亜
 

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