放課後になって瑞樹が言ったとおり、二人は一緒に学校の門を出て行った。
俺はそれを教室の窓から眺めている。
こうしてみると杏奈も女に見えるし結構お似合いかもしれない。
「良かったじゃねぇか…」
呟いてみたが素直に杏奈の恋愛成就を喜べる気はしなかった。いつも俺のいる
場所に今度は特別な誰かが居座るわけだ。解っていたことなのにこうして見ると
寂しさ以上の何かが胸を攻撃する。
俺の見るからに二人はまだ付き合っていないから今日告白して明日になったら新カップル誕生にでもなるんじゃないだろうか。
嫌だ、と自分の中で反対運動がひっそり始まる。
ずっと傍にいたからこれからもそれは変わらないと思っていた。
幼馴染より優遇される立場があることは知っていたのに、
今になってその立場にすごく悩まされている。
俺は幼馴染と言うことに安心していたのか、あるいは執着していたのだ。
杏奈の傍にいられるだけで幸せでその現状に満足し、
自分の本心を探そうとしなかった。
反対運動の団体代表よ、反対する根拠を述べよ。
代表の恋愛感情です、なぜなら五十嵐優は高田杏奈のことが好きだからです。