常陸

カエシテ

「・・・へぇ、リングね」

「はい」

もはや恐怖はないと安心したのか、えらく饒舌に先ほどまでのことを話す二人。

「リングってのは・・・それのことかい?」

「はい・・・ってええ?」

「嘘!私持ってないわよ!」

「でも君の袖に引っかかって・・・」

いわれてはじめて気が付いた二人。慌てて車から降りようとするが鍵が開かない。たとえ開いたとしても走行中の車から飛び降りるのは危険なのだが。

「飛び降りるのもいいけど、リングは返してもらうよ」

「え・・・?」

その言葉で改めて運転手を見るとその顔には見覚えがあった。

「あの時、の・・・!」

あの時の中年男性だった。頭から尋常ではない量の血を流していた。

「そんな・・・」

「嘘だろ・・・」

運転手もとい男性は吹からリングを取ると二人を突き落とした。先ほどは開かなかった鍵が今度は簡単に開き、二人は地面に叩きつけられトラックの後輪に轢かれた。勿論下半身のみ。



数日後、新聞には次のような事が掲載されていた。

某大学所属の男女五名が山間で死体で発見された。いずれの死体も下半身のみ潰されている事から同一人物による連続殺人事件として捜査が開始され・・・



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