「ブチ、先輩・・・」
「嘘、何でブチ君が・・・」
クロは崖下に下りようと降りられそうな所を探すがなかなか見当たらない。クロ舌打ちをすると崖を滑り降りていった。
「ブチっ!」
クロがそこで目にしたものは先ほどの女性を嫌でも思い出させた。ブチの下半身は巨大な岩の下敷きになっており潰れていた。ブチを中心にあたり一面に赤の敷物が敷かれていた。
「っくそ」
こうなってしまっては後悔しか生まれない。何故あの時自分はブチの声に耳を傾けなかったのか。ヘタの警告を受け入れなかったのか。そんな事しか思えなくなっていた。そんな時ブチの右手に光るものを見つけた。屈んでそれを手からとるとそれはリングであった。そのリングには何故か赤く変色した変わった異物がついていた。
「・・・血、かこれ」
しかし今一日にしては素人の自分から見てもわかるほど古すぎる。それにこいつはこんなもの持っていたかどうかすら怪しい。
「先輩!ブチ君は・・・」
それに首を横に振って答えるクロ。それを効いた吹は崩れるようにして座り込み、チャラは放心状態。ヘタは何かを堪える風だった。
このときクロはリングのことは言わなかった。もし此処でクロがリングのことを言っていたのならばこの物語の結末は変わっていたのかもしれない。