「っつう・・・生きてるか、吹」
一番初めに目を覚ましたのはチャラ。
「平気・・・先輩とヘタ君は?」
言われて辺りを見回すチャラ。目にしたものは自分たちの乗っていた車の見るも無残な姿と下半身のない二人の姿。
「どうして・・・?」
先ほど車内に差した光は車のヘッドライトで間違いないはずだがぶつかってきた車の痕跡が見当たらない。先ほどの急ブレーキで対向車線に侵入していたことはわかる。しかしその対向車が見当たらない事が不可解だ。相手のブレーキ痕も見当たらない。
「どうなってるの・・・?」
「・・・解らない」
ずっとここにいるわけもいかないので徒歩で山を下る事にした二人。チャラも吹も気が付かなかった。彼女の服にあのリングが引っかかっていた事に。
「ねえ、私たちも死んでしまうのかしら」
「そんなわけないだろ。あのリングを俺たちは持っていない」
そうだけれども・・・何かいやな予感がしてならない。胸の当たりざわついてしょうがない。
暫くは互いに何もはなさずに歩き続けたが、その沈黙を破ったのは後方からの光だった。
「おーい君たち、そんなとこで何してるんだい?」
光の主はトラック運転手だった。車のヘッドライトがまぶしくて運転手の顔を見ることはできなかったが、歩くのは無理だという事で乗せてもらう事にした。リングはもう持っていないのだし問題ないだろうという安易な考えで。