真崎珠亜

進め!セイトカインジャー!!

「ん? どしたの佐保ちゃん」
「この資料の〆切…今日の6時までなんですけど……」
「「「「え」」」」
小川の言った衝撃的事実に、他4人から間抜けな声があがった。
「いやいやそりゃ無いでしょう佐保ちゃん。いくら俺達が遊んでるからってそんな心臓に悪い脅し文句は…」
「しかし会長、浦田先生から頂いたプリントには今日までと…」
 おずおずと小川が差し出した紙切れをバッと奪い取り、目を走らせる初木。読んでいく内にどんどん彼の顔が青くなっていく。
因みに浦田先生とは生徒会の顧問で現在男盛りの27歳。クールな眼鏡フェイスと彼特有のエロ声で『校内抱かれたい先生ランキング』では生徒・保護者部門ともに4年間連続トップを独走している、女性から大人気な先生なのだ。彼目当てに生徒会に入ろうとする女子も少なくはないらしいが、生徒会役員は厳正なる審査のもとで決められるのでそういった不埒な生徒は落とされるらしい。
「…そのはずなのに何故会長がコレなんだ…」
コタロー、溜息吐くと幸せが逃げるんだよ?
「これで吐かずにやっていけてる方がおかしいんだって…」
 …さて話を戻すが、初木の見たプリントには確かに今日の日付と午後6時まで、と書かれていた。その下には浦田の手書きで
 『もしも間に合わないなんてことがあったら、生徒会役員は一週間僕のいぬ♥』
と、本気か冗談か分からない(彼は多分本気である)言葉が書いてあった。
そして初木はガバリと首を思い切り振り上げ、頭上に掛かっている時計を見る。壁の時計は5時45分辺りを指していた。時計が狂っていることを祈りつつ彼は自分の腕時計を見るが、電波時計である彼の腕時計も前者と同じ時刻を指し示していた。
「佐保ちゃん…」
「はい?」
ぷるぷると色んな感情によって震えながら、初木は小川に問うた。
「今、どのくらい出来てる…?」
「完全に出来ているのは37ページ分の12ページのみです」
そんな初木に、ズバリと小川はトドメを刺した。初木の心臓に槍が刺さる。
「皆の衆! 浦田の下僕になりたくなかったら即座に作業を完成させるべし!!」
「今まで一番遊んでいたアンタが言う台詞かぁ――――っ!!」
「…というかもう無理だろう」
「智人ぉ、ここは諦めるべきだよ」
「…多分どう頑張っても6時までに完成させるのは不可能です」
「うぅ…」
 青ざめた顔でばしっとそう言ったものの、他4名から次々と冷静にツッこまれて初木はがくりと肩を落とした。まぁどう考えても今まで遊んでいた彼らが悪いのだが。
しかしそんなことを言っている間にもじわじわと〆切は迫って来ている。そして初木は決心した。
「よしっ、俺は帰る!!」
「逃げるつもりですか!?」
「違う! 俺の妹が危険なんだ!! いや義妹いもうとかもっ!」
「智人一人っ子でしょーがっ」
「うるさい黙れ愚民共! 逃げるが勝ちなんだよ、じゃがっ!?」
 シュタッと手を挙げて、さっさと生徒会室から逃げ出した初木の鞄を、誰かの手がとっ捕まえた。急に後ろに引っ張られた初木から驚きの声があがる。
「初木生徒会長?そんなに慌てて何処へ行くつもりなのかな?」
止めたのは、笑顔の浦田だった。こめかみには青筋が立てられている。
「…まだ、出来てなかったんだね。……初木君。君、二週間僕の狗。決定♥」
ニコリと見るモノ全てを堕としてしまいそうな爽やか笑顔で浦田はそう告げた。
 そして、初木の口から絶叫があがったのは数秒後の話であった…。

                                          完?

■あとがき■

ぶっちゃけようはっちゃけよう!(え?

 前号の『SPRING BREEZE』又は前々号の『Noel』又は月刊部誌一月号の『玉露』を読んで下さった方はお久しぶりです。今号が初めての方と新入生の皆様は初めましてお早う今日は今晩はさようならございます(待て
ちょっと暴走気味に見えるでしょうがコレがいつも通りの私のテンションで御座います。真ア珠亜です。多分文芸部一の馬鹿だと自負しております。
 さて、冒頭に書いたとおり今回はぶっちゃけてはっちゃけました。相変わらず小ネタと馬鹿話が好きで折角読んで下さっている素敵な読者様をドン引きさせるのが大好きな阿呆人間なのです。文芸部の皆さん本当に御免なさい!!
とりあえず、元ネタが分かった方は周りの皆さんと答え合わせをしてみることをお勧めします。意外な発見ができるやもかも…。
 そもそもある時期のスーパーヒーロータイムにハマったのがきっかけで産まれたこの作品。生徒会が悪に対抗する組織っていうのは某少女漫画から拝借しました。流石にここまでぶっ飛んではいませんでしたが…。
 さて作品解説でも…。と、思いましたが最初から馬鹿大爆発でもう救いようがありませんねコレ。前号を頑張って真面目に書いたから今回は最初から最後までクライマ…ではなく自分の思うとおりに暴走してみようと思ったら本当に魔列車並の暴走特急が出来上がりました。魔列車好きなんですけどこれ元ネタ分かってくれる方いますか?
 まぁ作品云々はまた後ほどにして、最近気付いてしまったことを一つ。読みたくない方はとっととこんなページ飛ばすか下の方へゴーして下さい。

 某月某日。真崎、最新部誌『SPRING BREEZE』を持って帰宅。ニヨニヨしながら(おい)中を読み始める。
「…………?」
ふと、そこで何か違和感に気付く。
「…………」
ぱらぱらと一通り捲るように全て読む。そして、もう一度自分の作品の所に戻る。
「…………?」
やはり、何か他の作品と違うことを不思議に思う。
「…………!」
そこでもう一度読み直して、気付いた。
 読 み に く い … 。
そう、真崎の作品は他の皆々様の作品に比べて明らかに読みにくかったのである。そしてそこで何が違うのか考えて
「…………!!」
やっと気が付いた。
 行 間 が … 無 い … 。
「…………」
前号の部誌『Noel』を探し出して自分の物を他の人のと比較する。
「…………」
やはり、行間が存在しない。
 さてどうしよう、元々作品自体が読んでる人に悪影響を及ぼしているのに、これでは折角読んで下さる方々の目にまで悪いではないか。しかしだからと言って行間を用いてしまうとページ数が明らか長くなるのは目に見えている。それだけは避けたい。しかし、しかし読んでいる人にとってこの詰め詰め具合はどう考えても悪影響の塊ではないか…?
「…………」 

   …ま、いっか。

 ぱたんと部誌を閉じて、勝手に解決してしまった真ア。
 「珠亜ー。ご飯の準備しなさーい!」(真ア母)
 「あ、はーい」
 そしてそのまま部屋を出て行った…。

 と、いうわけでこれからも真アの作品には行間という物は使用しない方針で行きますので、多少目に悪いかも知れませんがご了承下さい。

 さて、作品云々ですが今回語りたいことはなんらありません。こんな超お馬鹿作品を読んで下さった方が少しでも面白いと感じて下さればそれだけで十分です。この登場人物達にも少しでも愛を持って下されば感涙します。
 さてさてこうして出来上がってしまった『教乱戦隊セイトカインジャー』ですが、ここでひとつ整理してみようと思います。
 【名前】(役職・本名)『決め台詞』
 【セイトカインシルバー】(生徒会長・初木智人)『煌めく白刃の舞い!』
 【セイトカイン濃紺】(副会長・高藤信弥)『はじける磯の香り!』
 【セイトカインピンク】(会計長・海那麗美)『咲き乱れる心花の誇り!』
 【セイトカイン常磐】(書記長・小川佐保)『吹き抜ける優風の祈り!』
 【セイトカインイエロー】(議長・浅花子太郎)『溢れるカリーへの愛!』
 【セイトカインブラック】(議長長・成海千潤)『泣き叫べ愚かな弱者共!』
 
 ……どんだけふざけたヒーローなんだ。
 まぁこんなヒーローは嫌ですね。絶対に嫌ですね。…でもこれ続くかもしれません…。

 さてさて長々と阿呆なことを綴ってしまいましたがこの辺で締めたいと思います。苦情・嫌み・恨み辛みがある方はゴーゴー図書室。高い確率で現れます。
 新入部員はいつでも歓迎致します。文芸部には一人の変態と六人の素敵で優しくて素晴らしい先輩方がお待ちしています。
 ではではこの辺で。また次の機会でも貴方とお会いできたら嬉しいです。

         2008年3月20日 真ア珠亜 

 ※尚、この作品は加筆修正したもので本部誌と多少異なるところがあります。ご了承下さい。

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