「……って、勝手に終わらせんなぁ!!」
と、叫んだのは勿論ツッコみ役のコタローである。
「誰がツッコみ役だ!」
……あ、こっちにも干渉するのね。
「…というか、何故俺が『タッちゃん』なんだ」
「『高藤』の『た』。じゃない?」
「あぁ…、成程」
*******
「……つーか何の話してたんだっけ」
「生徒会が悪と闘う秘密戦隊組織ではないかという話だ」
とことんマイペースで脳天気な会長にちょっとした頭痛を感じながら、高藤はそう答えた。そもそもその議題もどうかと思う。
「あ、そうそう。……つーかさぁ、『は』って何よコタローちゃん。夢と希望に溢れた回答だと思わないのか?」
「溢れすぎてて逆に何も言う気になりませんよ……」
疲れたように溜息を吐いて、きちんと座り直すコタロー。実際かなり疲れている。
「ていうかぁ、高校生にもなって秘密戦隊組織なんてありえなーい! 智人夢見すぎー」
そう言ったのは会計長の
「男はいつまでも夢を追い続けなくちゃいけねーんだよ」
「レミ分かんなぁ〜い」
「男のロマンじゃ、浪漫。女にゃ分からん」
「ふぅ〜ん、そういうモノなの? のぶやん」
「……知るか。それより仕事をしろ。手を休めるな」
いつもの如く馬鹿話を始めた会長に見切りをつけ、そそくさと書類のデータをパソコンに打ち込む高藤。彼らが今やっている作業は新入生用の生徒資料の作成なのだ。
「うぇー…。だって打ち込みばっかでつまんねぇんだもん。それに提出期限明後日でしょ? なら息抜きしようや」
「常に息を抜いている奴が言うな」
「ってか何で○○長しか居ないわけ? 下っ端はどうしたんよ?」
生徒会員は何も五人ではない、総数20名ほどは居るはずなのだが、忙しく働く今日に限って人がいない。
「…皆さん今流行りの風邪お休みだそうですよ」
画面を見ながら静かにそう言ったのは二年生で書記長の
「みんな揃って風邪かよー。ここまで来ると集団ボイコットみたいでなんか嫌だな」
「それより私もさっきから気になってたんだけどぉ、何でコタローちゃんここにいるの?」
「僕も生徒会役員ですよ!?」
「だってぇ、コタローちゃん議長さんだけど、議長長さんじゃないじゃない?」
人差し指を頬に当てて可愛らしいポーズをした海那にそう言われて言葉に詰まるコタロー。そもそも○○長ではなくとも役員ならこの場にいて良いはずなのだが、何せ周りで働いているのが生徒会長、生徒会副会長、会計長、書記長なものだからつい疎外感を感じてしまう。