正松

短編詩集『夢と毒と未来』

「ワイバーン」

真っ白な雪原に道を創り続ける
一角獣の骨の後を追っていたんだ
追い抜けないのなら
歌いながらついて行こう

またひとつ何処かの未来が終って
今日も雪原が広がる
白いラインを描いて
天高く ワイバーンは肥えていた

黒く口を開くクレバスを眺めた
誰かが架けてくれたモミの木の橋を渡ればいいのさ
傷痕は埋めなくていいよ
いつかはそこにも 橋が架かるから

あかぬけるような空の下
今日も雪原が広がる
一角獣の骨を追っていこう
白いラインを描いて
天高く ワイバーンは肥えていた
どこまでも
どこまでも

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