正松

短編詩集『夢と毒と未来』

「チシャ猫の夜」

チシャ猫に吐露した
「街の夜空に星はひとつも無くて
いや 見えなくて
孤独が胸に突き刺さるんだ」って
チシャ猫は
ただただ笑っていた

チシャ猫に告白した
「深い深い紺色の夜に
もとい 黒色の海に
ぽつんと浮かぶ満月は寂しそうだ」って
チシャ猫は
ただただ笑って
笑っていた

チシャ猫に尋ねてみた
「君は落書きだらけの塀の上にいて
ずっと 塀の上にいて
寂しいなんてことはないの?」って
チシャ猫は
ただただ笑って
笑って

消えた

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