正松

短編詩集『夢と毒と未来』

「ポストモダン」

潤滑油を飲みすぎた
ぎとぎとぎと
黄ばみが身体を侵し始める

でもそのせいで
前足がすいすい進む

泥水を啜り過ぎた
ぐとぐとぐと
薄汚く身体が錆び始める

でもそのおかげで
熱を持った動力は鎮まった

小綺麗な例外なんてない
笑いたければ笑えばいい

盲目の機械仕掛けは
ベルトコンベアの上を彷徨って
彷徨って
彷徨っていく


あの溶鉱炉の奥の奥へは
世界中で唯一体しか居ない君だけが
進めるらしい

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